愚痴 〜SNSの不意打ちと共感の罠〜

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愚痴 〜SNSの不意打ちと共感の罠〜

スマホでSNSの画面を何気なく眺めていると、誰かの日常の吐き出しや愚痴・悪口が突然目に飛び込んできてなんだかモヤモヤした。

あるいは、友達の愚痴に「わかる!」と共感して一緒に盛り上がったはずなのに、帰り道にものすごい疲労感に襲われた。

そんな経験はありませんか?

それは、あなたの心が狭いのではなく、人間の脳の奥深くにある「大脳辺縁系(感情を司る古い脳)」、特に脳のストレスセンサーである「扁桃体(へんとうたい)」に理由があります。

この古い脳は、「快・不快」「恐怖・怒り」といった本能的な情動や記憶を司りますが、会話や文章の「主語」を正しく認識するのが苦手です。

そのため、SNSで誰かが誰かに向けて書いた愚痴を「流し読み」しているだけでも、脳はそれを「自分が攻撃されている」あるいは「自分が言っている」と勘違いして、ストレスホルモンを出してしまいます。

特にSNSの画面では、楽しそうな写真の次に突然激しい怒りの言葉が飛び込んでくるため、心の準備ができないまま脳に不意打ちを食らってしまうのです。

そして、このストレスはリアルな対面の会話ではさらに強くなります。

2014年にドイツのマックス・プランク研究所の心理学者ベロニカ・エンゲルト(Veronika Engert)らが行った実験では、他人がストレスを感じている姿を見るだけで、観察している側の人々の体内でもストレスホルモン(コルチゾール)が急上昇することが分かりました。

私たちの脳には、他人の感情を鏡のように自分に映し出す「ミラーニューロン」という神経細胞があり、対面で相手の怒りやため息を受け止めると、相手の苦しみをまるで「自分のこと」のように脳内でシミュレーションしてしまうのです。

では、同じ人が嫌いとか、共感できる愚痴なら、逆にスッキリしてストレス解消になるのでしょうか?

確かに、共通の敵を作って盛り上がると一瞬はスカッとしますが、脳科学的には、「一瞬の鎮痛剤」にすぎません。

「そうだよね!」と盛り上がっているときも、脳内では嫌な記憶が鮮明に「再体験」されているため、体内ではストレスホルモンが出続けているのです。

さらに、共感して言葉を重ねるほど、脳はその嫌な記憶を重要視し、次にその相手に会ったときは、前よりももっと嫌な部分に気づきやすくなるという悪循環に陥ります。

では、本当につらい時に、誰にも弱音を吐いてはいけないのかというと、決してそんなことはなく、むしろ、つらい気持ちを外に出すことは、心が生きのびるために絶対に不可欠なSOSといえます。

ただ、愚痴を言う側には「一瞬の快感(ドーパミン)」という報酬があるのに対し、聞く側(友人や家族)にはその報酬はなく、それどころか、脳が相手のストレスを自動的にコピーしてして、ダメージをそのまま浴びる形になり、結果的にお互いがすり減ってしまうのです。

だからこそ、一人では抱えきれない感情は、大切な友人や家族ではなく「プロのカウンセリング」を頼ってほしいのです。

カウンセラーは、感情の伝染から自分を守る訓練を受けた専門家ですので、気を遣うことなく、どんな感情も100%安全に吐き出すことができます。

あなた自身の心を守るためには、一人で抱え込まず、プロの力を借りるという選択も、しなやかに歩み続けるための大切な心の知恵なのです。

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[Room Turn Blue ~ ルームターンブルー ~ ]
臨床心理士 / 公認心理師 / 国家資格キャリア / CBT Therapist®︎ / CBT Therapist®︎ for Biz / CBT Extra Professional®︎/ 健康経営エキスパートアドバイザー

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