2025/10/15
毎日、「寝ても寝ても眠い…」と感じていたり、「平日は寝不足でも週末に寝だめすれば大丈夫!」だと思っていませんか。
その感覚は単なる寝不足では片付けられない、もっと深刻なサインなのです。
平日は仕事や勉強に追われて、私たちはつい睡眠時間を削り、代わりに週末に思う存分寝て挽回しようとしますが、その習慣こそが、実は体調を崩す本当の原因かもしれません。
たしかに、日本人は「睡眠貧乏」と言われるように、OECDの調査でも、日本の睡眠時間は主要先進国の中で最も短いことが明らかになっています。
そして、この「平日の睡眠不足を週末に補う」生活習慣が、知らず知らずのうちに「睡眠負債」を生み出し、さらに深刻な「社会的ジェットラグ」を引き起こしています。
「社会的ジェットラグ」とは、平日と休日の睡眠・起床時間に大きなズレが生じることで不調をきたし、あたかも海外旅行から帰ってきたばかりのような時差ボケ状態になることを指します。
例えば、平日が夜11時就寝・朝5時起床、休日が夜12時就寝・朝8時起床だとすると、睡眠中央値の差は「2時間」になります(平日の中央値:2時、休日の中央値:4時)。
「社会的ジェットラグ」では、睡眠中央値(真ん中の時間)の「差」を計算しますので、この例の場合は、「社会的ジェットラグ=2時間」になります。
研究では、「社会的ジェットラグ」が2時間以上の生活を続けると、肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病やメンタルヘルス不調など、心身に深刻な不調を引き起こすことが示されています。
そして、日本人は諸外国よりもこの危険な2時間以上の割合が多いのです。
では、国際的にも日本人の「社会的ジェットラグ」が多いのはなぜなのか、これには個人の意志の問題だけでなく、社会構造と文化的要因が大きく関わっています。
例えば、固定された始業時刻と長時間通勤の問題があります。
主要都市圏での長時間通勤は、睡眠時間を削る最大の要因であり、早く寝ようとしても、朝の始業時刻が固定されているために、十分な睡眠が確保できず、平日の「睡眠負債」が蓄積します。
また、長時間の残業や、仕事終わりの会食など、夜遅くまで活動せざるを得ない社会的な習慣により、体内時計が夜型にシフトしているにもかかわらず、平日は早起きを強いられるため、週末には体内時計に合わせて遅くまで寝てしまってズレが拡大します。
さらに、「寝る間も惜しんで働く」ことを美徳とする価値観が未だに根強く残っていることも、「睡眠貧乏」を助長しています。
つい、仕事量が多い時や新しく勉強などを始める際に、睡眠を削って時間を捻出しようとしてしまうのですが、それは、睡眠の質や量が、仕事のパフォーマンスや健康に直結するという重要な認識として、まだ十分に浸透していない現状ともいえます。
睡眠時間を削って活動する生活は、気づかないうちに大きな「睡眠負債」を生み出し、「見えない時差ボケ」の悪循環に陥らせます。
今日からでも抜け出す対策として、休日の「寝だめ」を控える、朝日を味方につける、就寝前の光を遮断するなど、睡眠の質の向上に取り組み、心身ともに本当の元気を取り戻してください。
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睡眠は、単なる休息ではありません。
翌日のパフォーマンス、健康、さらには人生の質を高めるための重要な「資産」ですから、「負債」を「資産」に変える行動を今すぐに始めましょう!
[ Room Turn Blue ~ ルームターンブルー ~ ]
臨床心理士 /
公認心理師 / キャリアコンサルタント / CEAP / EAPコンサルタント / CBT
Therapist®︎ / CBT Therapist®︎ for Biz / CBT Extra Professional ®︎
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